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今年も失敗ゼロへ。「千葉の火消し役」西野投手

田村選手と勝利の八タッチを交わす西野投手

絶対的守護神にふさわしいオファーだった。
1月末、千葉市消防局は「春の火災予防運動(3月1日~7日)」での市内町内自治会・公共施設及び事業所に掲示する火災予防運動ポスターに2年連続で千葉ロッテマリーンズの西野勇士投手を起用することを発表した。
「ストッパー」は、時に「火消し役」と表現される。マリーンズの抑えとして、どんなピンチも消してしまうその姿は、まさに火消しのイメージにピッタリだ。

「2年連続で起用していただき、大変光栄に思います。このポスターを見ていただき、火災予防に対する意識が高まることを願っています。また、自分も火消し役であるストッパーとして活躍することで、このポスターにこめられているメッセージを広く伝える事ができればと考えております。今年も失敗ゼロを目標に頑張ります」

消防局からのオファーを、西野は嬉しそうにコメントした。マリーンズ選手の消防局ポスター起用は13年が益田直也投手、14年がG.G.佐藤外野手。15年と16年が西野で2年連続での起用は初。
2月初旬より市内町内自治会掲示板、公共施設や事業所など約4,000箇所に提出される。
千葉市消防局は「2015年シーズンはセーブシチュエーションでの失敗がゼロと、火災ゼロを目指すこの予防運動にピッタリで、2年連続になりますが、ぜひとお願いしました。今年もマリーンズの火消し役として大活躍されることを期待しています」と起用の理由を明かした。通常は複数の候補者の中から選ばれるが、今回の人選はすぐに一本化され、本人にオファーが届いた。

千葉の火消しの象徴となった西野は日本球界屈指の守護神でもある。54試合に投げて1勝2敗34セーブ。打たれた本塁打はわずか1本。
同点の場面で2度、サヨナラ負けを喫し、負けこそついているが、リードした場面での抑え率は100%。
特に地元・千葉では1勝0敗16セーブで防御率0.82。
他球団のどの守護神よりも完璧な仕事をこなし、本拠地での安定感が、消防局関係者の目に留まったのも無理はない。

「自分の中では失敗ゼロを開幕からずっと目標にしてきた。正直、自分を追い込んで日々を過ごしていたので、プレッシャーで苦しい時はあったけど、期待に応えられて良かった。今シーズンはさらにいろいろな目標を設定して、それにむかって頑張っていきたい」

そんな西野が2016年シーズンの目標に掲げるのは3つ。
「自分の中ではまず区切りの100セーブを目指したい」。
抑えを任された2年間で65セーブ。今季自己最多の35セーブを挙げることで目標は見えてくる。ただ、その上も狙っている。
「小林コーチの持っているセーブの球団記録を抜きたい」。
小林雅英現一軍投手コーチが02年に樹立した37セーブの球団記録。マリーンズの守護神の象徴として「幕張の防波堤」の異名でファンの間で語られる伝説の投手の記録を抜き去りたい考えだ。そしてその先に見えてくるものがある。
「結果としてセーブ王のタイトルが欲しい」。
記録越えで現実味を帯びるタイトル。今年はどこまでも貪欲に、目標をもった一年を過ごすつもりだ。

各球団、絶対的な守護神が揃うパ・リーグ。その中で西野はさらなる輝きと存在感を欲している。今年は自主トレ、キャンプと肉体改造に着手。84キロほどだった体重も、88キロでシーズンに挑もうとしている。求めるはさらなる直球。150キロ近い剛速球を常時、投げ込む事で、伝家の宝刀フォークは無敵と化す。

「出てきた時点で相手が諦めるような圧倒的な存在を目指したい。今年はいろいろな事にこだわって、優勝を目指したい」

抑え転向当初は、先発への未練も垣間見えた若者はいつしかこのポジションに誇りと、やり甲斐を見出すようになった。マリーンズの抑えとしてのプライドがマウンドで、ほとばしる。この居場所を誰にも譲るつもりもない。「千葉の火消し役」は、チームのどんなピンチも、あっという間に消してくれる。

「パ・リーグ インサイト」マリーンズ球団広報 梶原紀章

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